文明開化の足音が聞こえ始めていた江戸後期においてもその感覚は変わらず、小倉百人一首は古き良き日本の伝統を受け継ぐ絵カルタとして広く江戸庶民の間で親しまれていました。
そこに目をつけた日本橋の版元・伊場仙が、江戸庶民の間で人気を博していた歌舞伎や故事に擬えた見立絵として小倉百人一首をリメイクして世に出すことを思いつきました。
その結果、制作されたのが本書の底本となる「小倉擬百人一首(おぐらなぞらえひゃくにんいっしゅ)」です。
歌川広重、歌川国芳、そして歌川国貞(三代目歌川豊国)という歌川一門の人気浮世絵師が、百首の和歌からインスパイアされた浮世絵を創作。
和歌の絵柄に登場するモチーフは水滸伝の魯達から三国志の関羽、八百屋のお七まで、江戸時代のエンターテイメントを隅々まで網羅した構成となっています。
小倉百人一首の和歌、全百首を当時のメディアに流れていた謎掛けや故事とともに描いた浮世絵ワイドショー。本書ではそれらの浮世絵のオリジナル画像を高解像度データのままに編集するとともに、見開きページで浮世絵に対応する和歌と解説を現代語テキストで掲載しました。
多色刷りで色鮮やかに描き出された江戸文化の結晶とも言える浮世絵の数々。
小倉百人一首に詠まれた和歌とともに心ゆくまでご鑑賞ください。
小倉擬百人一首
【著者】歌川広重、歌川国貞、歌川国芳 【編集】LOGDESIGN publishing
【ページ数】214ページ
【出版日】2014年10月13日(第1版)