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西洋銭譜 – 江戸時代の貨幣図鑑

国期も遠い昔に過ぎ去った江戸時代後期、町民や武士の間では珍しい貨幣を集める“貨幣コレクション”がブームになり、コレクター向けの様々な古銭書が刊行されるようになりました。

その代表的な古銭書の一つが「西洋銭譜」です。

 

明7年(1787)、西洋銭譜は丹波国福知山藩主・朽木昌綱によって編纂・刊行されました。

殿様でありながら貨幣マニアの蘭学者としての顔も持つ昌綱は、様々な分野に興味関心を持つ、いわゆる蘭学大名でした。

江戸滞在時には杉田玄白とともに解体新書を手がけた前野良沢に蘭学を学び、蘭学者・桂川甫周やオランダ商館長・ティチングとも交流していました。

昌綱はその豊富な人脈と殿様の財力を駆使し、国内のコレクターや西洋の友人と貨幣コレクションの物々交換を行い、精力的に収集・研究を進めたのです。

特にティチングとはティチングが日本を離れた後にも文通が続き、コレクション集めに惜しみない協力をしていたことを示す書面が残されています。

西洋銭譜

昌綱の著した西洋銭譜の図

西洋銭譜には昌綱自身が描き写したと言われる西洋諸国の金貨や銀貨、銅貨の表裏の図版が国別に描かれています。

その数なんと全135種類!鎖国下の日本国内においてこれだけの数の西洋貨幣を揃え、一枚一枚を穴が空かんばかりに眺めながらその形状を写していく殿様の姿。もはやたまらんばかりのマニアックな姿しか想像できません。

各貨幣の図版は実寸で描かれていますが、それぞれにサイズバリエーションの有無や重さ、大きさが記されています。

現代のマニアに勝るとも劣らない貨幣マニアな殿様による貨幣図鑑。そのマニアックっぷりをデザインや描写の面白さとともに、是非ご堪能ください。

西洋銭譜: 江戸時代の貨幣図鑑

西洋銭譜【著者】朽木昌綱【編集】LOGDESIGN publishing

【ページ数】53ページ

【出版日】2014年11月25日(第1版)