そして江戸時代になると一般庶民にも手の届く身近な存在となり、多くの版元によって様々な形態で刊行されました。
数々の版元が手がけた中の一つが安政一年(1854年)、版元佐野屋によって刊行された浮世絵集、源氏五十四帖です。
当時の江戸文化において、源氏物語の世界観を現代版に置き換えた浮世絵を描いたのは当時の人気絵師・三代目歌川豊国(歌川国貞)。
観る人を魅了するビビットな色彩とメリハリのある輪郭、そして計算された構図。源氏五十四帖は、江戸の庶民にも大変人気を博したと言われています。
源氏物語は稀にみる長大な物語であるため、いくつかのパートに分けて構成されています。
その構成や巻名には諸説ありますが、全五十四帖に分けてそれぞれに巻名が附されています。
本書では版元佐野屋喜兵衛によって刊行された全五十四帖の浮世絵を高解像度画像として収録するとともに、巻名一覧も掲載しました。
千年を越えて語り継がれ、江戸の庶民にも親しまれた源氏物語。その作品世界が表象する肌理の一片を是非、ご堪能ください。
(LDP)
浮世絵源氏物語 – 源氏五十四帖
【著者】歌川国貞 【編集】LOGDESIGN publishing
【ページ数】62ページ
【出版日】2014年9月23日(第1版)