100枚を越える紙葉(フォリオ)に描かれた謎の未解読文字と色鮮やかな挿絵は、その発見者であるヴォイニッチを含め数多くの人々を魅了してきた。
仔牛皮紙に様々な顔料インクやパステルを用いて記述されたイメージは生物学や天文学、薬学を連想させる。
挿絵に描かれた女性像や植物画、天体の筆致の一部には、15-16世紀頃に刊行された錬金術書や寓話集の挿絵との類似性も見て取れるが、その真の内容を解き明かした者は、未だ誰一人として現れていない。
諸説によれば、この手稿は13世紀に名声を馳せたロジャー・ベーコン(Roger Bacon)の著作であり、後にボヘミア王によって購入されたとも、あるいはボヘミアの錬金術師エドワード・ケリー(Edward Kelly)による捏造であるとも言われている。またジョン・ディー(John Dee)
いずれの説にせよ、決定的な証拠は見つかっておらず、その来歴には不明点が残ったままである。
未知の知識を封印した暗号なのか、未発見の人工言語なのか、はたまた中世の奇人の戯れに過ぎないのか。
発見から1世紀を向かえた現代まで、暗号学者ウィリアム・フリードマン(William Friedman)を筆頭に数多の言語学者、暗号マニア達の挑戦を退けてきた未解読書「ヴォイニッチ手稿」。現存する本書はアメリカの古書籍商の手を経て、イエール大学ベイニッケ図書館に収蔵されている。
本書には、現存する全てのフォリオを高解像度画像データで収録し、その構成を記してあるが、解説は記載されていない。
解読の鍵を握っているのは、本書を手にした貴方かもしれない。
(LDP)
ヴォイニッチ手稿 – 完全図版集
【著者】不明 【編集】LOGDESIGN publishing
【ページ数】277ページ
【出版日】2014年10月6日(第1版)